『四畳半神話大系』森見登美彦
モリミの小説であるからして、主人公は当然のように男汁溢れる生活の中で妄想逞しくしている京大生であり、その男が不覚にも心惑わしてしまうのは自分の道をひた走る天然の黒髪乙女なのである。
しかもその黒髪乙女は工学部建築科所属ときた。ここは一部の理系男にとって非常に重要である。例えば僕とか。
という訳で、今回の黒髪乙女(明石さん)の可愛らしさは、
「むにゅっとしてました、むにゅとしてました」
彼女はまるで幽霊にでも出会ったように顔面蒼白になってがたがたと震え、何度もそう言っていたのだが
という箇所に凝縮され、主人公と小津のダメさ加減は
我々も京都に住む学生として、京都に貢献すべきだと師匠は主張した。小津と私の二人で雨の日も風の日も、哲学の道の冷たい石のベンチに腰掛けて、西田幾多郎「善の研究」を読み耽り、「つまり知覚は一種の衝動的意志であり」云々とわけもわからず議論していたことがある。京都の観光資源たらんとしたのである。この上なく不毛であった。
という行動に見て取れる。
そんな登場人物が出てくる短編が4つ。書き出しの文句は同じだし、登場人物もほとんど同じ。大学1年の時に主人公がサークルを選ぶ所で物語が4つに分かれる。sneg。
但し、出てくるキャラクタは同じでも、主人公の立場が違うので印象が違ったり、あっちの話では理由がわからなかったことがこっちの話でちゃんとタネ明かしされていたり・・・とまさに「楽しむため」の小説になっている。素晴らしい。そんな話間のリンクがあるので、4つの短編を読み終わってから、再度1話目を読んで見ることをお勧めしたい。そうか、この名前はこんな所で出てきていたのか。