ここ数週間かけて、玄田有史の著書を2冊読んだのでメモ。
『仕事のなかの曖昧な不安』玄田有史
元の単行本が書かれたのは2001年、1990年代のバブル崩壊→リストラの流れで世間に「中高年ホワイトカラーの雇用不安」が蔓延していた時代に、「中高年ホワイトカラーの失業者は言うほど増えていない。それよりも企業が中高年正社員を抱えるがために若年の採用が抑制されていることが問題だ」と主張する。今読むと特に目新しさは感じないんだけど、気になったキーワードがいくつかあった。
・「はっきりとした不安」とは、リスクと言い換えられる。何に対してファイトすれば良いのか明確。「曖昧な不安」を「リスク」に変えることができれば、対処も考えることができる。
・高い失業率は「就業のミスマッチ」(希望の就職先に就職できない)を生み、結果として「すぐ辞める」につながる。日本の就職は卒業のタイミングという一発勝負なので、卒業時の好況・不況によって世代間の就業機会(ひいてはその後の賃金)に格差が生じる。
・成果主義が成功するためには、仕事の内容を明確にする必要がある。部下や後輩に簡単に「(とにかく)頑張れ」という声をかけるべきではない。もし言おうとするのであれば、目的・手段を具体的に示して言うべき。
・仕事に対して「普通は・・・」と言わない。どんな仕事にも常に何か異常やトラブルが発生している。「普通は・・・」という言葉で仕事の中身を細かく読み取る努力を放棄してはいけない。
・本人が満足できる「幸せな転職」に必要な条件は、資格でも本人の能力でもなく、「有益な助言をしてくれる職場以外の友人・知人がいること」であった。
最後の点について著者は、たまに会う仕事以外の友人=ウィーク・タイズ(弱い結びつき)が重要だと指摘する。この本から10年、最近
twitterがらみで「リワイヤリング」っていう言葉がぽつぽつ出てきてるけど要はこのことですよね。
twitterはやってないんだけど、仕事以外の友人を再発掘するっていのは何か良さそう。ちょっと意識してみよう。
---
『仕事とセックスのあいだ』玄田有史、斎藤珠里
で、もう1冊がこちら。
主な話題はセックスレスで、AERAで行ったアンケートをもうちょっと突っ込んで分析すると何が見えてくるか、という本。二人の著者が代わる代わる章を書いているものの、温度差は否めない(玄田有史が淡々とアンケート結果の統計分析を書くのに対して、斎藤珠里は個人的な体験を含めつつ感情に訴える書き方)。
面白かったのは、
・(結婚している)女性が働いている方がセックスレスになりにくい
・夫側は、職場の雰囲気が悪い=ストレスを感じるほどセックスレスになりやすい(因みに、妻側にはこの相関はない)
・既婚女性のうち、20台・40台は「職場に気になる異性がいると仕事にやる気が出る」割合が高い。既婚男性は全年代でそれほど高くない。
というもの。夫の方が繊細だったのかw
玄田有史側の章は前半面白かったのに、後半に別の調査結果を持ってきて「結局、セックスレスがどの程度広がっているのか正確な実情はわからない」とかぶっちゃけてしまうのが残念だった。それを言っちゃあダメでしょう、この本。
あと、最後のあとがきだけじゃなく本文中で二人の著者の主張がちゃんとやりとりされていたらもっと面白い本だったのだと思う。